
色んな出来事があり
許しがたい言動の数々で
もう2度とあうもんかと
決めていた父に会うことにした。
こんな風に思う日も来るかもしれないとは
頭の片隅にはあった様な気もする。
親友のお母様、遠い親戚、
親しい訳ではなかったけれど
同年代の近所の方の訃報で
死に対する事が身近に感じてしまったこと。
また、父が好きだった有名人の
訃報も立て続けにあってのことだった。
訃報が続いた事が
大きな理由かもしれない。
施設に入所したという父。
痴呆が進んでいるという父。
突然の心境の変化に
驚いたのかもしれないが
息子も一緒に行くと言った。
いざ会ってみると。
わたしのことはわからなくなっていた。
息子のことも。
全く。
心のどこかで痴呆と言っても
私のことはわかるのではないかと
思ってしまっていた。
それが、まったくわからなくなっていた。
泣きたくもないのに涙が後からあとから
流れてきた。
覚えていないという事は...
父からしたら
全く見知らぬ人に、突然押しかけられて
きっと困惑している事だろう。
そんな姿が...
表現が適切ではないかもしれないけど...
哀れであり、かわいそうでもあり
同時に、今までのあれやそれをも
反省も改心もすることなく
きれいさっぱり忘れてしまうなんて
ズルいなと思う気持ちも湧いてくる。
ただ、何もわからない人に
ずっと恨み節のような
思いでいるのもどうなんだろう。
感情はぐちゃぐちゃだ。
息子が「一緒に野球観戦したんだよ」
と、言った時
仏頂面だった父が
自分を指差した後、息子にも指をさして
「一緒に行ったの?」と言って
嬉しそうにニコーっと笑った。
なんでだろう。
そこでも涙があふれた。
この、複雑な思いを
息子は汲み取ってくれたようだった。
そして言った。
「でも何もわからないんだから
本人は幸せなんじゃない?」
言葉が見つからないんだけど
息子にはメンタル面で
助けてもらう事が多い様に思う。
父と息子の事を考える。
命を繋げたという
またなんとも複雑な気持ち。

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