T子が暴れる

U子に呼び出された場所は
警察署のすぐ近くの駐車場だった。


A男の車らしい。
警察署を後にしたA男とT子が
運転席と助手席に座り
T子から呼び出されと言うU子が
後ろの座席に座っていた。


私は到着すると
助手席に座るT子の腕を掴む。

私が来た事を心底驚いている様子だった。


鬼の形相でU子を睨み付けた。


「U子だってもうどうにもならなかったから
 私に連絡したんだよ!
 とにかくもう家に帰ろう!」
と私は車からT子を引っ張り出そうとした。


「◯◯(←私の名)…。ごめんね。」
T子はしおらしく言った。
そして
「ちゃんとこの人(A男)とU子と
 話したら帰るから大丈夫だから」


私は言う。

「何言ってるの?そんなの信じられる訳ないじゃない。
 昨日の約束(私と会う)をすっぽかし
 子供達を置いて3日も4日も家に帰らないT子を
 今は信じられない。さぁ。一緒に帰ろう。」

するとT子がいきなり鬼の形相で私を睨み付けた。


はじめて【本性】を見た気がした。


正直ちょっとこわかったけど
ここで引く訳にはいかない。

押し問答が続く中…


トイレに行きたいとT子が泣き出した。
T子は子供が駄々をこねる様に泣いた。


私とT子は近くの公園のトイレへ行く事に。

A男が帰らない様にと
T子はA男の車の鍵を持ってトイレに入る。


トイレの個室の外で私は待つ。


個室の中で化粧ポーチをいじる音がした。


マズイな…と思った。



やっぱり…。



トイレの個室から出てきたT子は
カミソリの刃を自分の首に押し付けて
出てきた。


そして私と一定の距離を保ったまま
車に戻った。


T子はU子に車から降りる様に命じると
A男に車を出せと指示する。


私は車の前でT子をにらんでいた。
車を出せと言うのには
私を轢いてしまえという意味もあった。



今、目の前で起きてることすべてが
信じられなかった。
映画とかテレビみたい…

T子がこんなことをするなんて…



T子、A男、U子と私。
次にどう動いたら良いのか…
それぞれ考えていたと思う。


U子はT子が刃物を首にあてるのを
見るのは珍しくないようだった…。

車から降りるとすぐに助手席に周り
T子からカミソリを取り上げようとした。



私はもう自分たちだけでは無理だと判断した。


先ほどT子とA男が事情を聴かれていたであろう
警察署に全速力で走った。


カウンター前にいた女性警官に助けを求めると
中に居た私服の刑事さん達も素早く反応して
一緒に来てくれた。

何人かの刑事さんはサスマタを持っていた。


無我夢中で動いているのに
頭の中では
(あー。これ防犯訓練とかで目にするやつだなぁ)
なんて冷静に考えてる自分もいて不思議な気持ちになる。


T子は車から降りていた。
私が刑事を連れて行ったので
駐車場の壁沿いに逃げる。
カミソリを首にあてたまま…。


「もうやめなよ!もう無理です!」
私は怒鳴りながら
T子の元へ寄ろうとすると

T子が言った。
「◯◯(私の名)だ け は絶対に来ないで!
 許さないから!」と。


許さない?意味がわからない…。
そんなことを言われる事も悲しかった。


そしてA男に
「A男が来て!」と甘える様に言う。

はじめて目にした、
完全に【女】だけのT子に驚く。


当のA男は恐怖で震えて動けなくなっていた。
それでも刑事さんがA男に行くように促す。


A男は決意したように近づいて…

T子が刃物を持つ手に飛び付いた。


と、同時に複数の刑事さん達が
T子に飛び付いた。


ゴチャゴチャになってどうなっているのか
様子がわからない…。


聞こえてくるのは
「痛ーい。いったーい。いってぇな。離せよ!」と
汚い言葉で声を荒らげるT子の声だった。


数秒後にはカミソリを取り上げられ
両腕を刑事さんに捕まれたT子が現れた。
そのまま警察署の中に連れて行かれた。
私とU子に睨みを効かせながら…。



刑事さん2人が負傷した。
ひとりはT子に噛みつかれ
もうひとりはカミソリで指を切っていた。




今までに見たことのない
T子を目の当たりにし呆然とする。


刑事さんに事情を聴かせてくださいと
言われて皆で警察署に続く。


U子と私…気づけば泣いていた…。



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